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歯が動く仕組み
●どのように力を加えるか●
歯は簡単に動きます、といったら大抵の方はびっくりするでしょう。しかし、同じ方向に継続的に力を加えていれば、歯は案外動きやすいものなのです。歯が動いているあいだ、歯茎のなかでは何が起こっているか、その仕組みを簡単にですがご説明します。
歯を動かすには固定源が必要なので、通常の矯正では動かしたい歯と固定源となる別の歯をつなぎ、固定源のほうへ引っ張るように歯を動かします。稀に、動かしたい歯同士をつないで引き合わせることや、首や頭にバンドを引っ掛けて固定源とするケースもあります。ちなみに、この固定源に人工歯根を使う治療がインプラント矯正です。
歯の周りは歯根膜という膜で覆われており、その周りには歯槽骨という歯を作り出す骨があります。食べ物のなかに髪の毛や砂など細かい物を噛み当ててもすぐわかる通り、歯というのは非常に敏感な器官ですが、これは歯根膜がそれを感知し脳に信号を送るからです。
歯に一定の方向で継続的に力を加えると、引っ張られた側の歯根膜が歯に押さえられ、貧血状態になります。それを正常な状態に戻すために、歯根膜のなかで破骨細胞という細胞が働き出し、歯槽骨を溶かします。そこにできたスペースに歯が移動するというわけです。また、逆の方向では歯根膜を流れる血液量が増えるため、造骨細胞という細胞が働き出し、歯が移動してできたスペースに新たに歯槽骨を作り出します。
つまり、歯根膜と歯槽骨さえ健康であれば、虫歯のため神経を抜いた歯茎でも、たとえ歯周病であっても歯を動かすことは可能なのです。
矯正治療によって歯が動くスピードは1ケ月に0.8〜1ミリが適切とされています。早く歯を移動させたいからといってこれ以上の力を歯に加えると、歯が傾斜しうまく移動ができなくなってしまうだけではなく、歯根膜の血管と神経が圧迫され周辺の組織が死んでしまう恐れがあります。
●大人と子どもが同時に矯正を始めたら●
上に述べたように、歯が動く仕組みとは、歯槽骨の代謝の繰り返しであるともいえます。同じ時期に同じ条件下で歯を動かすだけであれば、大人と子どものどちらが歯列矯正治療を早く終えられるかというと、それは圧倒的に子どもが優勢となります。子どものほうが細胞の代謝が早く元気だからです。ただ実際には、子どもは永久歯が生えるのを待つために治療が遅れがちで、大人のほうが治療に熱心で着脱式の装置を忘れずに着けることが多い傾向にあることもあり、一概に子どものほうが早く終わるとはいえません。
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